尊敬語・謙譲語・丁寧語の違いと使い分け
尊敬語と謙譲語を間違える原因は、種類を覚えていないことではなく、その動作を「誰がするのか」を確認していないことです。判断はこの一点で決まります。
判断基準は「誰の動作か」だけ
| 種類 | 誰の動作に使うか | 働き | 例 |
|---|---|---|---|
| 尊敬語 | 相手・第三者の動作 | 相手を高める | いらっしゃる、おっしゃる、ご覧になる |
| 謙譲語 | 自分(自分側)の動作 | 自分を低める | 伺う、申す、拝見する |
| 丁寧語 | 動作の主体に関係なく | 文全体を丁寧にする | です、ます、ございます |
つまり手順は2つです。①その動作をするのは誰かを確認する。②相手なら尊敬語、自分なら謙譲語を選ぶ。「自分の会社」「自分の上司」は社外に対しては自分側なので、謙譲語を使います。
自分の動作に尊敬語を使ってしまうパターンです。「明日、御社にいらっしゃいます」は自分が行くので誤りで、正しくは「明日、御社に伺います」となります。
よく使う動詞の一覧表
| 普通の言い方 | 尊敬語(相手の動作) | 謙譲語(自分の動作) |
|---|---|---|
| 行く | いらっしゃる/お越しになる | 伺う/参る |
| 来る | いらっしゃる/お見えになる | 参る/伺う |
| いる | いらっしゃる | おる |
| 言う | おっしゃる | 申す/申し上げる |
| 聞く | お聞きになる | 伺う/お聞きする |
| 見る | ご覧になる | 拝見する |
| する | なさる | いたす |
| 食べる/飲む | 召し上がる | いただく/頂戴する |
| 知っている | ご存じである | 存じております/存じ上げております |
| 会う | お会いになる | お目にかかる/お会いする |
| もらう | お受け取りになる | いただく/頂戴する |
| あげる/渡す | くださる | 差し上げる/お渡しする |
| 借りる | お借りになる | お借りする/拝借する |
| 思う | お思いになる | 存じる |
| 読む | お読みになる | 拝読する |
間違いやすい組み合わせ
1. 自分側の身内に尊敬語を使ってしまう
| 誤 | 正 | 理由 |
|---|---|---|
| (社外へ)部長がおっしゃっていました | 部長が申しておりました | 社外に対して自社の上司は自分側。謙譲語を使う |
| (社外へ)弊社の田中様が伺います | 弊社の田中が伺います | 自社の人に敬称は付けない |
2. 相手の動作に謙譲語を使ってしまう
| 誤 | 正 |
|---|---|
| こちらの資料を拝見してください | こちらの資料をご覧ください |
| 受付で伺ってください | 受付でお聞きになってください/お尋ねください |
| ご参加していただけますか | ご参加いただけますか |
3. 「了解しました」の扱い
「了解しました」は丁寧語であり、それ自体が誤りではありません。ただし敬意の度合いが弱いため、目上の相手には避けるのが一般的な運用になっています。相手に応じて選び分けます。
- 同僚・後輩:了解しました/わかりました
- 上司:承知しました/承知いたしました
- 社外・重要な取引先:承知いたしました/かしこまりました
覚えなくても送れるようにする
一覧を暗記する必要はありません。実務で必要なのは、送る直前に「この動作をするのは自分か相手か」を一度確認することだけです。それでも迷う場合は、書いた文をそのまま機械的に整えるほうが速く済みます。
明日そちらにいらっしゃいます
明日そちらへ伺います
自分の動作なので謙譲語に直ります。動作の主体を判定した書き直しは、ツール側でも処理できます。
よくある質問
尊敬語と謙譲語の違いは何ですか?
動作をする人が誰かで分かれます。尊敬語は相手や第三者の動作に使って相手を高める言い方、謙譲語は自分(自分側)の動作に使って自分を低める言い方です。たとえば「行く」は、相手が行くなら「いらっしゃる」、自分が行くなら「伺う」になります。
社外の人に自社の上司の話をするとき、敬語はどうなりますか?
謙譲語を使います。社外に対しては自社の人間は「自分側」に含まれるためです。「部長がおっしゃっていました」ではなく「部長が申しておりました」となり、敬称も付けずに「弊社の田中が」と言います。
「了解しました」は上司に使ってはいけませんか?
文法上の誤りではなく、丁寧語として成立しています。ただし敬意の度合いが弱いため、目上の相手には「承知しました」「承知いたしました」を使うのが一般的な運用です。社外や重要な取引先には「かしこまりました」を使うと、より丁寧になります。
丁寧語と尊敬語・謙譲語は同時に使えますか?
使えます。丁寧語は動作の主体に関係なく文全体を丁寧にするものなので、尊敬語や謙譲語と組み合わせて使うのが普通です。「ご覧になります」「伺います」はどちらも丁寧語との組み合わせで、二重敬語にはなりません。